2023年度スローガン

一般社団法人 宇治青年会議所
第54代理事長 村田 翔一
●はじめに
宇治青年会議所は1969年に全国で431番目の青年会議所として青年の真摯な情熱を結集し、地域社会及び国家の発展を図り、会員の連携と指導力の啓発、社会奉仕に努めると共に、国際的理解を深め、世界の繁栄と平和に寄与することを目的として50年にわたり活動してまいりました。そして、地域コミュニティを強化し経済を活性化するという活動は、今ますます大きな意味を持ち始めています。新型コロナウイルスの感染拡大により生活様式が変化し、働き方や組織のあり方も大きく変わりました。先行きの見えない時代に翻弄されることなく、活動を紡いで来てくださった方々への感謝と伝統を守りながらも、次の世代へ盤石な経済基盤と希望を引き継いでいくための革新を起こすことは私たちの使命だと考えます。
●現状
近年では、全国でも特に若年層において会員が減退していることが青年会議所の課題として取り上げられています。宇治青年会議所でも、平均在籍年数が3年に満たないことや会員数の減少、経験が不足しているメンバーが役職に就かなければならないなどの問題を抱えています。誰もが活動を継続しやすい組織にするためには、自発的に手を挙げたくなる魅力的な活動内容とフォロー体制が必要です。加えて、若い世代のロールモデルになる経営者の会員を増やしていくことも、会員数を増やしていくための必須の項目として挙げられます。これらを魅力的な要素として外側からも見える形に整え、諸先輩方が蓄積されてきたノウハウや解決方法と合わせることで、地域だけでなく内外から注目される活動団体として認知され、意識の高い入会希望者の増加が期待できます。
●地域創造委員会
~まちづくり 消費する側から地域を創る側になる機会の提供~
私たちの地域は、観光名所や特産品を多く有し、例年たくさんの観光客が訪れる場所です。しかし、オンライン上で商品の販売が完結してしまう昨今では、地元の人間であっても生産されているものの歴史や過程に触れることが少なく、愛着を持ちにくいという面があります。事業継承や伝統行事の担い手不足など、地域への思い入れが少ないことから生じる間接的な課題は、近年どの地域でも取り沙汰されている重要な問題です。核家族化が進み地域との関係が薄れる中で地元の方に愛着を感じてもらうためには、消費する・消費されるという関係に留まってしまう「モノづくり」だけではなく、生産者側の活動に参加してもらうなど「コトづくり」に力を入れていく必要があります。
また、「作り手側として参加し特に学生を含む若年層を対象に拡大し、自身のアイデアで地域経済やコミュニティを動かすという体験を通して、地域への愛着や思い入れを深め前のめりに参画してくれる若者を育成できると考えます。地域の魅力ある特産品や観光名所などの価値を地元の方々と共に探求できるプログラムや交流の場を作り、ブラッシュアップして次年度に生かします。
●人財クリエイティブ委員会
~会員数拡大と人財育成~
近年、宇治青年会議所でも会員数の減少が通年の課題として取り上げられています。2050年からは毎年100万人ずつ人口が減少すると言われるなかで、継続的に若年層を獲得していくこと自体の壁が年々高くなっています。オンラインを駆使してあらゆる団体への参画が容易になりつつある昨今では、仕事や私生活だけでは得ることの出来ない貴重な経験ができるという青年会議所への参画メリットを若者の心に響かせ、より一層選ばれる団体になることが必要です。
「仕事に繋がる能力を高めたい」「異業種の仲間と交流を持ちたい」「地域で面白い活動がしたい」という会員の参加理由に応えるために、まずは既存のセミナーや地方出向などの会員特典の価値を最大化できるよう会員の声を吸い上げ、仕組みを整えていくことも大きく会員の満足度に貢献すると予想されます。
また、地域における活動が異業種交流会よりも大きく秀でている点として、お互いが近いエリアに居住していることで生まれる機動力と、その地域にしかない魅力や慣習をよく理解している者同士であるという結束力があります。幼い頃から顔馴染みになっているからこそ、通常の交渉であれば難航しそうな調整や挑戦でも協力してもらいやすいという利点もあります。これらの特性を私たち自身がよく理解し、メンバーの活動を青年会議所が積極的に成功事例として紹介していくことで、裁量が大きく自由度の高い組織で実績を積めるという点に魅力を感じた若者の流入が見込めます。
併せて、青年会議所とどのような形やサイズで関わっていきたいのかが明確でない会員に対しては、得意な分野で小さく挑戦できるような職務分掌や相談の窓口を用意するなどの細やかな配慮も必要と言えます。このような層が宇治青年会議所のフォローアップによって同活動の中からやりたいことを見つけられるようになることが、「会員になって大きく成長できた」という実感と積極的な会員勧誘にも繋がります。働き方も多様化する中で、ライフスタイルに合わせた参画方法や個々人の関心のある分野で関わってもらえるような活動形態にすることが求められています。そのためには、クリエイティビティを求められない領域については最小化・効率化し、アイデアや知見を活かせる事業を中心にどんどん積極的に行っていくことが大切です。
●コーポレートブランディング委員会
~総務・組織ブランディング構築~
仕事のカタチもここ数年で大きく変わりました。自宅にいながら世界中の人々と簡単に繋がることができるようになりコミュニティ自体大きく幅が広がったことで、「地域との関わり」「地域活動」に対して抵抗を持つ人々も少なくはありません。そこで、最も重要になるのが宇治青年会議所の「ブランド化」です。「ここに入りたい」「この人たちと活動したい」「かっこいい」など人を惹きつける魅力を創造し、参加者の満足度を引き上げるための施策はもちろん、参加することがステータスになるようなブランドイメージを尖らせることが必要です。
宇治ならではの歴史的建造物での式典開催や、地元に愛されるブランドと連携したプログラムづくりなど、会員本人はもちろん家族や友人にも響く仕掛けは、会員が地域に誇りを感じ積極的かつ継続的な活動をすることの後押しにもなります。多忙な現代人の心を捉え個人の予定を空けてでも参加したい活動として位置付けられるよう、従来大切にしてきた点を維持しつつ、参加者の声に耳を傾けて小さく実験を重ねながら、柔軟に企画の立案・実行を行なっていくことが大切になります。
●情報発信
上記のような施策と合わせて、活動内容を効果的に発信していくことも必要です。観光資源や商品の販売PRにとどまらず、まさに今私たちの地域が実証実験の段階であり、飛躍的に成長を遂げている地域だと認識していただくことが人を呼び込むための導線に繋がります。事業報告にとどまらず、外から見たときに楽しい・成長できそうと感じてもらえるようなメンバーの活動の様子を発信していきます。若年層や関係人口を含むまちづくりの活動は近年注目されているため、このような取り組みそのものをまちの魅力として積極的にSNSやプレスリリースなどを用いて発信し、オンラインでの関係づくりと併せて協力者や移住者に見つけてもらうことが大切だと考えます。
●最後に 新しい自分と出会う、成長の場へ
青年会議所は、地域コミュニティという基盤の上で一般生活では挑戦できない領域に挑戦させてもらえる稀有な場です。50年間紡がれてきた歴史と先輩方の叡智に敬意を払うとともに、私たちは、一人一人がこれから先の自分を新しく見つけることを本年度の第一の目標とします。青年会議所での活動を個人の事業に落とし込むことで業界にイノベーションを起こし、本気でこの地域や京都、日本を背負っていくような若者を育て、力強く社会に送り出すことは私たちの活動に寄せられている大きな期待の一つです。ここでの経験や実績がその後の個人の事業や活動・人間力の向上に大きく寄与するものになるよう、絶えず活動内容に磨きをかけていく責務が私たちにはあります。そのために、主要メンバー自身が学びを怠らず、時代にあった面白い展開や共鳴を呼び起こす人材のロールモデルとなり、次世代との協働の中でバトンを引き継ぎます。地域の人々にとって継続しやすい仕組みをつくり、多くの意欲的な若者を育て、私たちの魅力的なふるさとが全国から選ばれる地域となるよう努めてまいります。